2020年12月10日木曜日

「実利用者数」統計は間違いやすい?

「兵庫県公共図書館調査」で有効登録者数という名前で統計が公開されているのは、1年間にその図書館で貸し出しを受けた人の数を重複を除いてカウントしたものである。篠山市の図書館では「実利用者数」という名前で統計が出されているが、 次のように毎年増減を繰り返すデータが公表されていた例がある。

今年発行された「兵庫県公共図書館調査」で、相生市立図書館の有効登録者数(実利用者数)が前年に比べて大幅に違った数値になっていたので相生市立図書館に問い合わせたところ次の回答をいただいた。

富士通のシステムでは1年間に実際に利用した人と登録した人の合計が出るようになっております。ただ、そのデータを抽出する際の条件設定などがその年の担当者によってまちまちで統一した方法で出せていなかったとのことでした。

ですので、今後引き継ぎ事項として統一の方法を協議していく予定とし、それが定まるまでは「データなし」とさせていただくことになった次第です。システムが悪いのではなく、幾通りもある抽出方法の中からどの数値を毎年取っていくのかを定めていなかったことに起因するものです。 

この数値をシステムから取り出すのは、きちんと手順を書き出して共有しておかないと間違ったやり方になってしまうようだ。

2020年12月2日水曜日

登録率508%?

 登録率というのは図書館に利用登録した人の人口に対する割合である。相生市では2019年度は508%になったと、丹波篠山市立中央図書館の年報に書いてある。

昨年までは猪名川町が1位であったが、隣の川西市の住民が多数利用しているため100%を越えていたものである。そもそも、特別な事情で高い数字になっている1位の数字を載せて何の意味があるのかという問題がある。もっと事情の似通った同等の図書館と比較してこそ意味があるのではないだろうか。たとえば三田市立図書館の年報では人口の似通ったいくつかの市との比較が載せられている。

508%という数字は県立図書館にある兵庫県図書館協会が発行している「兵庫県公共図書館調査」に出ていたものをそのまま引用したものだが、前年に180%以下であったものが急に500%を超えるなどということはあり得ないことなので、引用には注意しなければならない。

兵庫県図書館協会に問い合わせると次の回答であった。編集者に責任はないという見解。
ご指摘いただきました相生市登録者数等に関しまして、公共図書館調査を発行するにあたり、相生市立図書館から提出された数値を転記しており、校正確認も行っております。
この数値になっている理由、根拠等は当館では把握できておりませんので、お手数ですが、相生市立図書館に直接ご質問いただけますでしょうか。

相生市立図書館に問い合わせると

この度は『兵庫県公共図書館調査』の当館のデータについてのご指摘をありがとうございました。こちらで調べましたところ、入力時のミスにより、同じ数値が2ヶ所に入ってしまっておりました。

とのことで、全く関係ない数字が図書館協会に報告されていたことが分かった。訂正後のデータについてもさらに疑問があったので問い合わせると次の回答であった。

相生市立図書館は今年度から指定管理となり、この調査についてもデータの抽出方法を市より引き継ぎました。その方法で抽出したところお伝えした数値になったのですが、前年度の数値とだいぶ違うことは把握しておりました。申し訳ありませんが、原因はわかりません。昨年度まで図書館に勤務されていた市の職員様に確認できないことはないのですが、今は別のお仕事をされていますので、来年度までにはお時間をいただいて確認を進めてまいりたいと思います。

2020年12月1日火曜日

大型本など盗難?

 2018年度の図書館年報から蔵書数統計の分類が変更された。それから1年たった2019年度のデータを見ると全集が41冊、大型が112冊減少していることがわかる。ほかの分類でも行方不明はあるのだろうが、購入した本と打ち消しあってその数はわからない。

盗難だろうか。単価が5,000円とすれば一年で76万円の損害である。開館当初にはずいぶん被害が多かったと聞いた記憶もある。2019年5月29日の教育委員会では次の発言が記録されている。

(館長)監視カメラ設置前で、最も被害があったのが平成17年度の583冊、約255万円である。平成29年度では、130冊、15万円の被害に減少した。監視カメラは平成17年度末に設置している。
2019年度には館内防犯監視カメラの更新として1,408千円の予算が確保されていたが、蔵書点検をするまで盗難が分からないのであれば、いつ盗難されたかが分からず、効果はないのではないだろうか。

ほかの図書館の例だが、芦屋市ではこういった本はカウンターの前を通って入る別の区画に置かれ、その区画にはカバンなどは持ち込みできないことになっている。西宮市では、各図書館の入口に無線式盗難防止装置が設置されている。篠山は都市部から離れてはいるが、盗難のプロからみればあまりにも無警戒なのではないだろうか。