2022年4月30日土曜日

岩波新書の回転率

 2020年度の年報で初めて「岩波」という分類項目ができた。

蔵書数は図書コーナーに1,879冊、年間貸出は39冊。わずか2%の回転率である。

蔵書検索システムで調べると、岩波新書は合計で2,348冊、図書コーナーには1,565冊、中央図書館には1,184冊となっている。上記39冊の貸出に対応するのはおそらく図書コーナーにある岩波新書専用書架の蔵書であろう。

図書コーナーの岩波新書1,565冊のうち2013年以降のものはわずか2冊、2008年以降でも49冊しかないから、これでは新書というのもおこがましいくらいの古さである。古い本は魅力がないということの表れであろうか。

2022年4月20日水曜日

篠山軽便鉄道についてレファレンス

 篠山軽便鉄道について知りたいというレファレンス依頼があったと「本の森」4月号に出ている。


国会図書館の「レファレンス協同データベース」には「篠山軽便鉄道が何色だったか知りたい」というレファレンス事例が紹介されているなど、「篠山」をキーワードにするレファレンスが64件も登録されているので、こういうレファレンスを受けたらこのデータベースを検索することは必須であろう。

現在は郷土関係のレファレンス結果を図書館システム内蔵のデータベースに登録している由だが、今のままでは図書館システムと国会図書館の両方のデータベースを検索することになるので、今後は図書館システムのデータベース利用をやめて国会図書館のシステムに移行するべきであろう。また図書館システムのベンダー変更がしやすいようにしていくことも考慮する必要がある。

第2次図書館ビジョンで「国立国会図書館のレファレンス協同データベースに参加します。」とされているのは正しい方向と思う。実は2002年の図書館ビジョンでも同じように記載されていたのに10年間実施されてこなかった件だが、今度こそ実行してほしい。

2022年4月16日土曜日

蔵書数と貸出数

 ジャンル別の年間貸出数とそのジャンルの蔵書数はどういう関係だろうか。年報のデータをグラフ化した。

まず蔵書数と貸出数。斜めの破線は回転率1.0を示す。小説と文庫は回転率が高く社会科学と文学、郷土資料は低い。

貸出数と購入冊数の関係。上の図と似ているから基本的には蔵書数のバランスを維持するように購入されていることが分かる。ただし文庫本はその比率が増加するように購入されている。


2011年からの蔵書数の毎年の変化を見ると、毎年同じように購入されているわけではないことが分かる。2018年度、2020年度の年報では分類が変更されていて、変化をとらえるのが難しいので空白にしている。
  1. 2011年の蔵書数に比べて2012年以降「社会科学」の購入割合が高い。
  2. 2011年の蔵書数に比べて2013年以降は「自然科学」が増加。
  3. 2014年、2017年は「哲学」の購入が少なく、「郷土資料」が多かった。
  4. 2015年以降「文庫」が増加。
  5. 2014年以降「技術」が減少。とくに2017年には激減した。2019年には回復。「技術」には家政学(料理手芸など)が含まれる。

2022年4月14日木曜日

年齢別貸出数

 年齢別の貸出数は図書館から統計が発表されているが、児童書を親のカードで借りていくなどの例が無視できないくらい多い(2018年度の児童書貸出数は123千冊なのに12歳以下への貸出冊数は53千冊)ので、絵本、児童書、YA(ヤングアダルト)、一般書に分けてその動向を見るほうが年齢別の貸し出し傾向が分かるのではないかと思われる。

まず人口だが、丹波篠山市ではベビーブーマー以下の年代では減少してきており、成人人口は一貫して減少している。

その結果、上述の図書の分類に対応すると思われる年代の人口はいずれも減少している。特に中学生・高校生の年代は減少が著しい。また、2020年の統計で0-3歳の人口が減っているので今後は幼児から小学生、さらに中学生高校生へと人口の減少が順次進むと思われる。

上記年齢区分の人口と絵本、児童書、YA(ヤングアダルト)、一般書を対応させて、一人当たり年間貸出数をグラフ化すると次のようになる。破線のグラフは右目盛りであることに注意。絵本と児童書は一人当たりの貸出数が増加傾向であったが、2020年は新型コロナの影響を受けてか激減した。このグラフは団体貸出をふくめているので個人貸出の減少比率はもっと大きい可能性がある。(2022/4/17追記)
今後は全体の貸出密度を引き上げてきた幼児および小学生の人口比率が下がっていくので、貸出密度を上げるのはおろか維持するのさえ非常に難しいと思われる。

2022年4月13日水曜日

年齢別登録率

 2020年年報の登録者数と実利用者数(年度内に一度でも貸し出しを受けた人の数)を人口と対比させた。

19歳から39歳までの3つの年代区分では人口よりも登録者数のほうが多い。転出した人の登録を抹消できていないのか、それとも市外の住民が多数登録しているのか。2013年度(平成25年度)年報では実貸出利用者数 7,306人中、市外居住者はわずか189人(2.6%)であったし、その後開始された丹波市との相互利用登録者数は2020年度で362人とされているから後者の可能性は低く、転出した人の登録が残っている可能性が高い。

30歳代、40歳代の利用率が高いのはこの年代の女性が子供のために絵本や児童書を自分のカードで借りているためであることが分かっている。年齢別の一般書貸出数の統計こそが読書傾向を示すものであるので、適切な方針の立案のためにも統計の充実をお願いしている。

2022年4月11日月曜日

新型コロナ時代の貸出数

 2020年度の年報が出て年間貸出数が明らかになった。

一般書の貸出数は約10%減少した。開館日数は286日から270日に5.6%減少だった。

分類別では文庫は増加したが、小説、技術(家政学を含む)、歴史が大きく減った。下のグラフはその拡大図である。社会科学、芸術、言語、郷土資料も減っている。

児童書を含む全貸出数の変化は次の通りであった。一般書が減少の趨勢にあったのとちがって児童書は減少していなかったが、2020年度は児童書のほうが大きく減少した(16%減)。
ちなみに、実利用者数(年度内に一度以上貸し出しを利用した人の数)は次の通り。18歳~21歳と22歳~29歳の減少は少ない。